一週間に一回、少しずつ お話をふくらませていきます。
カラスのクロが どこに住んでいるのか、だれも知りません。 (2011.3.9)
筋書きを あらかじめ考えておくのではなく、
思いつくままに 書いてみたいのです。
きっと ドタバタ、ガタガタのお話になることでしょうが
おおめに見てくださいね。
朝になると あらわれ、夕方には すがたが見えなくなってしまいます。
人間は カラスのこと、あんまり好きじゃないみたいだけど
カラスは 人間が 好きなんだよ・・・。
これから 始まるお話は、カラスのクロが引き起こす、ハチャメチャな喜劇です。
少しでも クロのファンが 増えてくれると とってもうれしい！
って、クロが 申しております。
それでは、ここからは カラスのクロの言葉を 日本語に書き直して おとどけしますね。
先週までのお話
いつにもまして寒かった冬が やっと終わったみたいだ。
なんとなく 白っぽく 茶色っぽく 灰色っぽかった景色には
黄緑色や うす桃色や クリーム色など はなやかな色が加わってきた。
最近のボクのお気に入りの場所は 広い畑のすみっこに立っているお地蔵さんの前。
お供え物の おまんじゅうが目当てだろ？って！ ちがう、ちがう・・・
いくら お腹がすいてたって、 だいじなお供えに 手をつけたりしないよ。
あ、 カラスだから 「くちばしをつけたり」かな。 ボクが食べるのは
捨てられたものや いらないものさ！ お供え物には 供えた人の気持ちが
こめられているからね。 大切に置いてある おまんじゅうや くだものは
わかるんだよ、ボク。 じゃぁ、なぜ ここの場所が好きか？って聞かれると
どうしてだろう・・・あの おばあちゃんが 好きなのかもな〜。
☆ ☆ ☆
おひさまが 高くのぼって、 それから 西のほうへ 少しかたむいたころ
ゴロゴロと 手押し車を押しながら、その おばあちゃんは やって来る。
手押し車の中に入っているのは お供え物。 きょうは 平べったい焼もちだな！
「おやつの時間ですよ。 こうちゃんが 大好きだった おやき、どうぞ 」
おばあちゃんは 手を合わせて いろいろ話している。 ボクは しずかに聞くのさ。
「おや、まぁ！ ここにも つくしが 顔を出して・・・春かねぇ〜、春だねぇ 」
みちばたに生えている つくしを おばあちゃんは １本、 また１本、
つんでは笑い、 つんでは話しかけ、 春のきざしを 楽しんでいるようすだった。
「こうちゃんも ヒバリの声が聞こえるかい？ 姿が見えないほど 高〜い空で
ピチピチピチピチ鳴いているねぇ。 高い空・・・こうちゃんも あそこらへんで
笑っているのかなぁ〜？ それじゃぁ、おばあちゃんより よっぽどハッキリ聞こえて
いるんだろうね・・・カァ〜カァ〜って・・・。おや？？ まぁ、また アンタかい！」
そうなんだ。 ボクは おばあちゃんの話が しめっぽくなってくると 決まって
カァカァと くちをはさむことにしてるんだ。 ほら！ おばあちゃんが 笑っただろ？
ヨッコラショ！と立ち上がった おばあちゃんは、 さっき つみとったつくしを１本、
ボクに分けてくれて、 ゆっくり 帰りじたくをはじめる。 これは うまいのか？
？！！！ にがぁ〜〜〜い！！ ペッペッペッ！ カッカッカッ！
やさしそうな おばあさんに だまされてしまったぜ・・・まったく。
「つくしは にがい」と 覚えておこう。
