夜になると・・・ほら、オオカミの鳴き声が きこえてきましたよ。
「ウァオ〜〜、オ〜」おそろしくて、だれも 近寄りません。
だから、おさびし山に住んでいるのは、あのオオカミだけなんです。
☆ ☆ ☆
オオカミの名前は ロック。
朝は ちょっぴりお寝坊さんだけど、とても はたらき者。
自分の家も、コツコツ、トントン、ギ−コギ−コ・・・
ロックひとりで たてました。
森の公園に ブランコと、シ−ソ−も作りました。
「遊びにきてくれた友だちと、いっしょに楽しめるようにね〜」
うたを歌いながら、ロックは ブランコに のってみました。
「あぶなくないか、点検、点検」
こんどは シ−ソ−にまたがりました。でも、ロックは下のまんま。
ギッタン、バッタンできません。
「はやく 友だちが こないかなぁ」
☆ ☆ ☆
はたけに 野菜が ドッサリできても、森の公園に すべり台をつくっても、
ロックの家には だぁれも遊びにきませんでした。
「ぼく、げんき村のみんなのために なにか、役に立つことを考えよ−っと」
☆ ☆ ☆
ある日、ロックは おさびし山のふもとへ おりて行って、
なにやら、トントン、ペタペタ 大工仕事をはじめました。
みどり色のペンキをぬって、『みんなの伝言板』と書いた、
大きなかんばんみたいなものが できあがると
ロックは そのかんばんに 紙をはりつけました。それには、
と、書いてあります。
「この伝言板で、げんき村のみんなと お話できたらいいなぁ」
☆ ☆ ☆
げんき村は、ロックの伝言板のことで おおさわぎです。
「おおかみの わなだよ、これは。あそびに行ったら、
ペロリと食べられちゃうよ」そう言ったのは、うさぎのジャンプ。
「ためしに 大工仕事を たのんでみるっていうのは どう？」
考えこんでいた りすのステップが 言いました。
「うん、いい考えだね。それじゃぁ、ぼくが いすを注文してくるよ。
いぬのホップが おさびし山のふもとへ かけていきました。
☆ ☆ ☆
２日後、伝言板の下に 注文どおりのいすが おいてありました。
「やった〜！！みんなの いすだよ」
「ぼくのも ピッタリだ」
「ロックって じょうずなんだね〜」
そして、つぎのように書いて 帰りました。
☆ ☆ ☆
これが ロックの返事でした。ジャンプたちは、いすの おれいに
ミルクと バタ−と すてきな花束を じゅんびしました。
ロックは はたけの野菜で おいしい料理をつくることにしました。
☆ ☆ ☆
約束の日、空は はれわたり、森の公園の ブランコやすべり台も
うれしそうです。ロックは ジャンプたちと、シ−ソ−で遊んでいます。
「友だちがいるって いいなぁ」ロックは 大きな声で いいました。
「ぼくたち、夜 ロックの鳴き声を聞くのが すごく こわかったんだよ。
でも、きょうからは 子守歌だね、きっと」
みんなのわらい声が おさびし山にひびきわたりました。
☆ ☆ ☆
つぎの日、みんなの伝言板には こんな紙が はってありました。
