〇●月◇◆日 （気分は ちょっぴりエコロジー！） ボツ童話？号
「ふーの息、なくなっちゃうよー」
あまなつの あっちゃんと まーちゃんと なっちゃんは、とっても なかよし。
しゅうかくされた カゴのなかで、あまく おいしくなるまで むだばなし。
「あはははは、わらいすぎて おなかがいたいや」
「きゃははは、おもしろくて なみだがでちゃうわ」
「だはははは、たのしいけど あつくて あせだくだ」
はるとなつの さかいめは、かぜが いっそう しめっぽい。
あまなつで まんいんの カゴのなか、くうきのにおいは あまずっぱい。
「まーちゃんは ふとってるからね」
「ふとってるんじゃないよ。あまなつジュースが たっぷりなのさ」
「まーちゃん、あせかいたら ジュースがなくなっちゃうわよ」
「え？ ほんと？！」
☆ ☆ ☆
みかんやまから、ゆうひにかがやく うみがみえる。
ひるまは みおろされているおひさまを しずむころには みおろしている。
「エアコンで すずしくなりたい・・・」
「まーちゃん、それはむりよ。あせをかいてるのは まーちゃんだけだもん」
「せんぷうきでいいから すずしくなりたい」
「それもむりだよ。でんきのむだづかい」
どうしたらいいか、かんがえたけど すずしくならない。
あたまをつかうだけで あつくなるようなきがしてならない。
「ころんで すりむいたとき、おかあさんが ふーふーって息をふきかけてくれたら、
すーっとして きもちよかったよね」
「ふーふー」
「まーちゃん、どう？」
「ふーふーの息は すずしいね」
☆ ☆ ☆
よるもふけると くうきがひんやりしてきて、せなかが ゾクゾク。
ひとがいないのに ものおとがして、こわくはないけど しんぞうバクバク。
「さむくなってきた。エアコンで あたたまりたい・・・」
「まーちゃん、それは むりよ。みんな ねむっちゃったわ」
「でんきストーブでいいから・・・」
「むりむり。でんきのむだづかい」
ひそひそばなしをしていると、まぶたが すこし おつかれさま。
そらのてっぺんにみえるのは、あまなつみたいな おつきさま。
「てがつめたくて ないてたとき、おかあさんが はーはーって息をふきかけてくれたら、
あたたかくなって ほっとした」
「はーはー」
「まーちゃん、どう？」
「はーはーの息は あたたかいね」
☆ ☆ ☆
あさ、キジバトのこえで めをさますと たいくつな いちにちの はじまり。
おしゃべりは たのしいけど、カゴのそとのせかいに きょうみは ふかまるばかり。
「まーちゃん、なっちゃん、さんぽにいかない？」
「おとなしく まってなさいって、いわれたわよ」
「おもしろそうだね、さんぽ。ちょっとだけ でかけようよ」
かごから とびだした あっちゃんと まーちゃんは しんこきゅう。
あしもとで はねていたバッタと おいかけっこちゅう。
「もどってきなさいよー」
「なっちゃんも でておいでよ」
「もう！ ききわけのないこは おしりペンペンですからね・・・・はーっ」
てのひらに はーっと息をふきかける。
「ぎゃー、はーの息は おっかないぞ」
☆ ☆ ☆
かごからでてきた なっちゃんも あさのくうきを すいこんだ。
そのとき、ちかくをあるいていたダンゴムシが だんごになって ころがったんだ。
「まてまて、ダンゴムシー」
「よし、きょうそうだ、まてー」
「うわぁ、ころがっちゃう・・・」
「たすけてぇー、めがまわるー」
やまみちを どんどん ころがって、おさんぽどころじゃなくなった。
あまなつの あっちゃん、まーちゃん、なっちゃんは、さかみちをごろごろ。
やっと とまったときには、からだじゅうが どろんこどろどろ。
「ねぇ、あれは おんせんじゃない？」
「ゆげがでてるね。ぽちゃんと はいったら、きもちがいいだろうな」
「あっちのおふろは おおきすぎるよ」
「じゃ、この ちいさいオケのなかの おゆに はいろうよ」
みかんやまのふもとの おんせんは、ちきゅうの息づいているあかし。
ゆげのむこうの かすんだそらが、ちょっぴり あつがっているきもするし。
「あちっ！ オケのおゆも あついよ」
「みんなで ふーふーしましょうか」
「ふーふー、ふーふー」
ぽちゃん！ とぷん！ ぼとん！
「はぁ、いいきもち」
「ふーふーの息で ちょうどいい」
☆ ☆ ☆
おふろあがりで ごきげんで、かえうた うたって こうしんしよう。
いざ、あまなつが あつまるばしょへ、ひとあし おさきに たどりつこう。
「あまなつ みんな たべている、すっぱいけれど おいしいんだ・・・」
「あまなつ みんな たべてい・・・あ、ここだね。やっとついた。ふーっ」
「ふー、おつかれさま」
くるまだらけのみちをあるいてきたら、なんだか うすよごれてしまった。
これから いろんなまちや おみせへ たびをするのに・・・こまった こまった。
「まーちゃん、ピカピカに みがいてあげるよ。はー、はー、キュッキュッ」
「じゃ、ぼくが なっちゃんを！」
「それなら わたしは あっちゃんね」
「はーはー、キュッキュッ」
「はーはーの息で きれいになるね」
☆ ☆ ☆
きれいになった あまなつの あっちゃんと、まーちゃんと、なっちゃんは、
みんなのカゴに とびこんだ。
しめっぽいかぜと あまずっぱいかおりと ほこりっぽいくうきが まじりあった。
「ほーっ、ぶじに ついてよかった」
「ほっ、よかったわ、ほんとに」
「ほーっ、ホッとしたね。たのしかったよ とっても」
「ほーの息は あんしんする」
☆ ☆ ☆
あまなつの いなくなった みかんやまに しとしと あめがふっていた。
しばらくすると あめはやみ、やまから モワモワ すいじょうきがあがってきた。
「おかあさん、やまから ゆげがでてる」
「おふろから あがったばかりの あかねちゃんみたいね」
「おひさまが ふーふーさましてあげるかな？」
にんげんのおやこが わらっている。
（おわり）
