§月！日 （気分は 霧 のち 崖っぷち） ボツ童話？号
ダンゴムシの ころりんは みちばたで なかまに であいました。
でも、おはなしをするまえに グルンコロンと ころがってしまいます。
「はぁ、また おしゃべりできなかった・・・しっぱい、しっぱい！」
いつも こんなふうだから、ころりんにはおともだちがいません。
「おともだちが ほしいなぁ」
ころりんのゆめは かなうのでしょうか？
☆ ☆ ☆
あめあがり、虹が ほんわり うかんでいます。
「ともだちを さがしに でかけてみよう」
ころりんは たんぼのそばの ほそいみちを あるいていきます。
すると、うえられたばかりのイネたちが こんなはなしをしていました。
「ねぇ、しってる？ 虹って よるでも みえることがあるんだって！」
「へぇ、よるって くらいじゃない・・・それでも みえるの？」
「おつきさまが まんまるで きょうみたいに あめあがりだったらね」
「みてみたいわぁ。きっと きれいでしょう」
「よるの虹を みることができたら、ゆめが かなうんだって！」
ころりんは うれしくて ころびそうになりました。
「イネさん、こんにちは！ そのおはなしは ほんとうですか？」
「ええ！ わたしは カルガモさんに きいたんだけど、ほんとうよ」
「ありがとう・・・ゆめが かなうんだ」
「ダンゴムシくん、がんばってね！」
ころりんは ゆうきがわいてきました。
☆ ☆ ☆
たんぼのなかで カルガモのおやこが きもちよさそうに およいでいました。
「カルガモさん、こんにちは！ よるの虹を みたことがありますか？」
「おや、ダンゴムシくん、こんにちは。よるの虹をみましたよ。
そのとき、げんきなこどもたちが うまれますようにって おねがいしたの。
そしたら ほらね・・・まぁ、なんて かわいいこどもたち！」
カルガモの おかあさんは めをほそくして わらっています。
「ぼくにも ねがいごとがあるんです。よるの虹を みにいきます」
「きをつけて いってらっしゃい。ゆめが かなうといいわねぇ」
「カルガモさん、ありがとう。がんばります」
ころりんは げんきがでてきました。
☆ ☆ ☆
ツバメが ヒュッと そばまでおりてきて、フワッと そらへ もどっていきました。
「あっ！ ツバメさん！ 虹は もうすぐ きえますか？」
「やぁ、ダンゴムシくんかい、こんにちは。
もうすぐ 虹は きえてしまうだろうね。はかないもんだねぇ」
「はかない・・・って なんですか？」
「すぐに きえちゃうってことだよ」
「ぼく、よるの虹を みにいくんです。はかないゆめですねぇ」
「そうかい。そんなことはないよ。きえてもまた いつか みることができるさ。
すばらしいゆめじゃないか！」
「ありがとう。ぼく、げんきをだして いってきます」
ころりんは ちからがわいてきました。
☆ ☆ ☆
やまのふもとに おおきな さくらのきが ありました。
うすももいろのはなは ちってしまったみたいです。ちいさなはっぱから
さっきふった あめのしずくが ポタンポタンと おちました。
「つめたい・・・。あめかとおもった」
「おや、ダンゴムシくん、ごめんよ。くしゃみをしたら しずくがおちてしまったな」
「いいえ、だいじょうぶです。さくらのおじさん、まんまるの おつきさまは
いつ でてきますか？」
「そうだなぁ。あしたか、あさってか・・・もう そろそろだとおもうがな。
ダンゴムシくんは まんまるおつきさまを まっているのかい？」
「よるの虹を みたいんです。もうすぐ みることができるかも・・・」
「この やまのおくに きれいな たきがある。あめあがりでなくても
そこなら みられるかもしれんぞ」
「ありがとう。たきまで いってみます！」
ころりんは わくわくしてきました。
☆ ☆ ☆
まんまるの おつきさまが たきの みずしぶきを てらしています。
よるの虹を ころりんは みられたかな？
ころばずに おしゃべりできるようになった ころりんは。
（おわり）
