ケンちゃん、ユウキくん、ショウタくん、サキちゃんです。
５人は グル−プの名前を 『レッツ５（ご）』 と 名づけました。
それでは今から レッツ５の体験した たのしい世界に ご案内しますね。
レッツ５の仲間は 学校から帰ったら、公園に集合する約束をしていました。
のんちゃんは おやつを食べたあと、自転車で 公園にむかう途中
ユウキくんに 会いました。
「ぼく、ちょっと おっかない話を 聞いちゃったんだ」
ユウキくんは 元気なさそうに 言いました。
のんちゃんは ちょっとだけ わくわくしながら、話のつづきを待ちました。
「公園のそばの 集会所の中から、夜中の１２時ごろ
へんな音が 聞こえてくるんだって！」
☆ ☆ ☆
公園に集まったあとも そのことで 話がはずみます。
「お化けなんじゃないの？」 サキちゃんが 言いました。
「な〜んか、うれしそうだな！」 大好きなケンちゃんに そう言われて
サキちゃんは はずかしそうに うつむきました。
「調べてみようよ！」 のんちゃんは、やる気まんまんです。
「でも 夜中の１２時だよ。おとうさんたちに なんて言うのさ」
冷静なショウタくんの意見です。
「公園で 肝だめしするって言えば？」
「のんちゃんらしい、ストレ−トな言い方！」 ケンちゃんが また、
ちゃかしました。すると、今まで だまっていたユウキくんが
「ぼく・・・肝だめしだったら・・・やめとくよ」 と
決心したように言いました。
「え−っ！ どうして？」 いっせいに みんなが聞きました。
「ぼくが 肝だめしに行きたがるはずないんだもん。
かあさんが 怪しむに決まってるさ・・・」
「じゃぁ、星の観察だったら？」
「さっすが、ショウタ！それ、いいじゃん！！」
☆ ☆ ☆
「いつ、作戦を 実行するの？」 のんちゃんは やる気まんまん。
「やっぱり 学校がお休みの 前の夜だろ？」 ケンちゃんが言うと、
「しかも、晴れていて、星が見える日・・・」 と
ショウタくんがつけくわえました。
「こんどの土曜日は どう？」 サキちゃんは 相変わらず、行動的。
「ぼくたちだけで だいじょうぶなの？」 ユウキくんは
心配で たまりません。みんなも ほんとは ちょっぴり不安です。
「星の観察をするにしたって、ぼくらだけじゃ よくわからないよ」
「ショウタの兄ちゃん、星のこと くわしいだろ？」
「うん、まぁね。いつも 夜空を ながめてるから・・・」
「じゃぁ、これで 決まりね」
「それまでに もう少し、情報を 集めておこうぜ！」
ケンちゃんの言葉に 全員、うなづきました。
☆ ☆ ☆
約束の土曜日、午後８時に 『レッツ５』 は 公園に集合しました。
みんな それぞれ、キャンプに必要な道具を持って・・・。
ショウタくんのお兄ちゃんの アキラくんも
天体望遠鏡を かかえて、参加してくれました。
「アキラにいちゃん、ありがとう」 のんちゃんが 元気よく言うと
「声、デカすぎ！ 観察するのは あっちなんだぜ！」
ケンちゃんが 集会所のほうを指さしたので、
みんな いっせいに 振り向きました。
「まだ、異常はないみたいですね。ぼくが 調べたところによると
へんな音は 夜中の１１時３０分頃から １時間、聞こえてるらしい」
「さっすが、ショウタくん！ バッチリ 調査ずみなのね〜」
サキちゃんは 感激しています。
５人は アキラにいちゃんの指示にしたがって、テントの準備と
夜食のしたくをはじめました。夜食といっても コンロで お湯を
沸かして、カップラ−メンを作ることだけですが・・・。
「ひとつだけでも 星座を覚えて帰りたいな」 ユウキくんがボソッと言いました。
「よし！ みんな 空を見上げてごらん」 アキラにいちゃんは
夜空のてっぺんあたりを 見ていました。
「きれいな星の川があるわ！」 「天の川だよ」
「あれが 天の川かぁ〜」 「なんか、感動だな・・・」
「川の流れのなかに ひときわ明るい星があるだろ？
あれが はくちょう座のデネブだよ。そして あっちが こと座のベガ。
ちょっと下の あれが わし座のアルタイル・・・。
つなぎあわせた三角形を 夏の大三角形っていうんだ」
アキラにいちゃんの説明を聞きながら、のんちゃんは あらためて、
宇宙の広さを感じていました。
「ここをのぞくと 天の川が もっときれいに見えるよ」
少しの間、レッツ５のメンバ−は 集会所の謎のことを
忘れ去ってしまいました・・・。
☆ ☆ ☆
「そろそろ、１１時半だね」 アキラくんに言われるまで
５人は かわりばんこに 望遠鏡をのぞいて はしゃいでいました。
「さぁ、集会所のほうへ 神経を集中させよう！」 と、
ケンちゃんが 気合いをいれたので、みんな 急に 緊張してきました。
「お、おしっこに行きたくなっちゃった・・・」
ユウキくんが、がまんできなくなって 言いました。
「わたしも〜」 と 元気に手をあげたのは のんちゃんです。
「いっしょに 公園のトイレまで行こ！ ユウキくん！！」
「うん、いいけど・・・のんちゃん、こわくないの？」
「平気よ！ なにかあれば、こ〜んなに近くに みんながいるんだし・・・」
「じゃぁ、アキラにいちゃん、行って来ます」
２人は 集会所の入り口に近い 公園のトイレに 急ぎました。
残った４人は、集会所からの音を 聞き逃さないように
静かに ようすをみていました。
「なにか あかりが動いたわ！！」 サキちゃんが 声をおさえて言いました。
「見えた？ ショウタ？？」 ケンちゃんには 見えなかったので
ショウタくんに 確認してみました。
「ぼくにも よく見えなかった・・・にいちゃんは？」
「たしかに 小さいあかりが 見えたな」 アキラくんの声は
さっきまでと違って、ちょっぴり 高い感じです。
「音は？」 「聞こえない！」 「おかしいな・・・あかりも消えた」
そんなことを こそこそ話していると、トイレに行っていた２人が
大あわてで戻ってきました。
「き、き、きこ・・え・・た・・・」 ユウキくんは まっさおです。
「なんの音か わかんないのよ！」 のんちゃんは みんなにも
その音を聞かせたくて とんで帰ってきたのでした。
「よし！ トイレのところまで 行ってみよう！！」
アキラくんが 言うまえに ケンちゃんは 走り出していました。
☆ ☆ ☆
６人は トイレのかげから、集会所のようすを うかがいました。
「どんな音だった？」 ケンちゃんが、のんちゃんに聞きました。
「う〜ん、どんなって・・・聞いたことがないような音！」
「それじゃ、わっかんないだろ？！」
「だって ほんとに、例えようがないんだもん」
「ユウキは どんな感じだった？」
「キュ〜、ギギギギィ〜、ピ〜・・・かな？」
「・・・？」 みんな ポカンとしてしまいました。
「なんだよ、それ？」 「わからないから、調べてるんでしょ！」
「あっ！ あの音！！」 耳をすませました。
その音は たしかに、集会所の中から聞こえてきます。
「窓から のぞいてみよう！」
アキラくんの ひと声で、また、また 緊張です。
姿勢を低くして、窓の下まで近づきました。
「ク〜ゥ〜」 「また、へんな音が・・・」
「ごめん・・・わたしの おなかが鳴ったの」
「もう、のんちゃんったら」 サキちゃんが おかあさんみたいな
口調で 言って、みんなを 笑わせました。
「シ−ッ！ また、聞こえてきた」 「のぞいてみよう！」
「ん？」 「何か 見える？」 「なぁ〜んにもぉ・・・」
「見えないなぁ〜」 「おっかしいなぁ〜？」
「音は 聞こえるのに・・・」 みんな 必死で 目を凝らしましたが
音の原因になるようなものは 何も見あたりませんでした。
「って、ことは・・・やっぱり オバケなの？」
ユウキくんは しゃがみこんでしまいました。
「ショウタ、懐中電灯 持って来たか？」 アキラくんに言われて
ショウタくんは にぎりしめていた懐中電灯を 渡しました。
「照らしてみよう！」 「あっ！！」 「あれは・・・？」
☆ ☆ ☆
暗がりに 目をこらしていると、だんだん何かが 見えてきました。
小さな、虫みたいなものが チョロチョロ動き回っています。
「何だろう？ アリよりは デカいよな！」
ケンちゃんが 窓ガラスに ピタリと おでこをくっつけて のぞきこみました。
「わたし、人間みたいに見えるんだけど・・・」
サキちゃんが そう言うと、ユウキくんは
「やっぱり おばけ？」 と、また しゃがみこんでしまいました。
そのとき、キュ〜、ギギギギィ〜、ピ〜という音がしたかとおもうと
小さな光が ピカッ！と 目にとびこんできました。
「あれだよ！ ほら！・・・コピ−機を見て！！」
ショウタくんは 何かを見つけて、指さしました。
コピ−機の中から こびとが ピョコン！と ひとり 飛び出したのです。
「うわ〜っ！！」 あんまり驚いたので、みんな いっせいに叫びました。
集会所の床の上には １０人以上のこびとがいます。
「野球のユニフォ−ム、着てるんじゃない？」 アキラくんが言いました。
やっと落ち着きをとりもどした レッツ５は、
「ほんとだ・・・でも 見たことあるようなユニフォ−ムだな」
「あれ、この前の地区対抗ソフトボ−ル大会で ぼくたちが着たのとおんなじ」
「私がいる〜！ ほら！！ かわいい チアガ−ル」
なるほど、のんちゃんそっくりの こびとが
赤と青のボンボンを手に持って おどっています。
６人は だれかが謎を 解き明かしてくれるのを 待っているかのように
首をかしげたり、顔を見合わせたりしていました。
「１２時半だな・・・」 腕時計を見てアキラくんが つぶやいたとき、
こびとたちは ス−ッと 音もなく 消えてしまいました。
「あっ！」 またまた、６人は いっせいに声をあげ、
「あ〜ぁ・・・」 と がっくり 肩を落としたのでした。
